文章は人を蘇生させる
美しい文体に出会うこと、文章を書くことは、私にとってはセラピーに近い。自分を取り戻し、高めてくれる活動だ。
植物に芳醇な水分と暖かな日光が必要なように、私という人間には文章が何よりの栄養素だ。できるから始めたこの活動は、生きるために欠かせない栄養に昇華されつつある。
文章を書くことで何かいいことがあるかって?
費用対効果は少ないかもしれない。単価は高くない、ライバルがそれこそ無限にいる。生活を支える職業としては、確かにいささか光沢を欠き、時には先の見えない山道を歩んでいるように感じさせるかもしれない。いまは遠い未来まで、繋がって見えないかもしれない。いつか目指した職業的文章家なんてものは、幻なのかもしれない。
でも、わたしはそれでもいいと思っている。生きるために必要なのだ。美しい文章、単語に出会うと私は蘇生する。何度でも。何度でも。
旅先でこの眼光に写った文化を
深夜のドライブに流れる冷たい風の音、車の窓越しに流れる風景を
私だけのものにしたい。
だから今日も真っ白いテキストを黒く、黒く塗りつぶしていくんだろう。
言葉なんかおぼえるんじゃなかった: 詩人からの伝言 (ちくま文庫)
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